食肉からペットへ、都市部の富裕層を中心に「犬」に対する意識が大幅に変化(中国)
2011.9.18 09:00 知る・歴史・文化 # コメント(-)


中国の一般家庭では、番犬として犬を何匹も飼い、そのうちの数匹は旧正月になると食用として処分されていました。そういった家庭に育った人たちが都市部に移り住み、今ではペット用の犬を飼い、犬の肉を食べなくなったそうです。
食肉からペットへ 中国の愛犬ブームに見る意識の変化
広東省の田舎町で育った主婦のチャン・リンさん。実家では番犬として犬を何匹も飼い、そのうちの数匹は旧正月になると食用として処分されていたという。中国南部の深センに移り住んだ今ではペットのミニチュアプードル「ドゥドゥ」を自分の子供のように可愛がる。
ドゥドゥの値段は4000人民元(約4万8000円)と、深センの最低月額賃金の3倍以上した。もう犬の肉を食べることはなくなったという。
チャンさんがドゥドゥを連れて行く大型ショッピングモールは、夜になるとプードルやハスキー、ラブラドールなどの飼い主が集まってきて犬を自由に走り回らせ、愛犬談義に花を咲かせる。地元の獣医師は言う。「自分の金持ちぶりを見せびらかしたい人たちは、最低でも5万元はするチベタン・マスティフなどの大型犬を飼う。本当に犬好きな品格のある人たちは、犬種にはこだわらない」。
犬に対する意識の変化は中国の大きな変化を物語る。特に深センでは、今でも日常的に犬が消費される一方、可処分所得が増えた住民にとっては血統書付きの犬を飼うことがステータスシンボルになり、その食い違いが際立つ。
犬を食用とする古くからの習慣が消えたわけではない。人混みでごった返す深センの市場には、犬料理を出す飲食店が並ぶ。人気の血統書犬を扱うペットショップの店員は、仕事は変わっても食用犬についての考えは変わらないといい、「ほかの動物を食べることとどこが違うのか」「ビーフとまったく同じだ」と話した。
一方、こうした考え方に反発する人もいる。ゴールデン・レトリバーを飼っている男性は「もう犬は食べられなくなった。ほかの人が食べていると、やめた方がいいと言い聞かせる。一番忠実な友達を食べるなんて残酷なことはとてもできない」と語気を強めた。
深センでペットとして飼われている犬は12万匹を超す。同市は人口900万人のうち75%を他地域から移り住んできた労働者が占め、寂しさを紛らわすために犬を飼う人も多いという。
こうしたペット犬人気の増大に伴い、各地で規制の動きも出始めている。山東省の省都、済南は犬を飼う前に近隣住民の承諾を得ることを法律で義務付け、上海では北京や成都、広州に習い、1人っ子政策ならぬ「犬1匹政策」を5月から導入した。
深センのショッピングモールを走り回る犬たちに対しては、今のところ目立った苦情などは出ていないという。しかしある警備員は、飼い主が放した犬をショーウィンドウから追い払い損ね、「犬がペットなのか、それとも人間がペットなのか」とぼやいていた。
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